杉本純のブログ

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映画『さかなのこ』を観た。

さかなクンが人気者になるまで

映画館で映画『さかなのこ』を観ました。新作の映画を観るのはけっこう久しぶりでした。

タレントのさかなクンの自叙伝『さかなクンの一魚一会』(講談社、2016年)を映画化したもので、主演は女優の「のん」。監督・脚本は沖田修一です。

私は自叙伝の方を読んでおらず、この映画がそれにどれくらい忠実に作られているかわかりません。さかなクンはたしか、友達に水族館のタコのことを教えられたのが、魚好きになる始まりだったと記憶しています。そしてタレントとして有名になった始まりはTVチャンピオンだったはず。しかし映画ではTVチャンピオンのことは出てこず、友人に誘われて出たテレビでその魚愛を披露したことがきっかけで、子供たちの人気者になっていくストーリーになっています。さかなクンは、映画では「ミー坊」と呼ばれています。

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いい話。

変わり者だが魚への愛着が人一倍強いミー坊が、その純粋な気持ちに正直に、ひたむきに魚と関わり続け、その個性を開花させる話。学校の勉強は秀才ではなく、環境は決して恵まれていたわけでもなかったものの、母親や街の不良たちなど、わずかな理解者たちに支えられながら生きていく。いい話ですね。

ミー坊は底抜けに明るく魚好きで、その気持ちに正直に、確信をもって生きているため、人生にあまり葛藤というものがありません。実際のさかなクンの人生には葛藤があったでしょうけれど、映画ではちょっと天然なところが前面に出され、変わらぬ調子で人生を突き進んでいく。葛藤が映画の醍醐味の一つと思う私はその点がやや不満でしたが、個性を爆発させ子供たちの人気者になる最後は感動的でした。

のんはさかなクンの不思議さを好演したと思いますが、とにかく美人なので、さかなクンだと思いながら観ることがどうしても難しかったです。また映画の前半は一つのエピソードに尺を取りすぎのような気もしました。その他、柳楽優弥が演じる友人のデートに同席するところなど、あまりに不自然な箇所もありました。

さかなクンの自伝、読んでみようかな…。