杉本純のブログ

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西村賢太と島田雅彦

ホテトルを奢る約束

先日、このブログに西村賢太『一私小説書きの日乗 野性の章』(KADOKAWA、2014年)の2013年12月28日の記録について書きましたが、実はその前日の記録も興味深いものです。

12月27日は雑誌「新潮」の忘年会が「かに道楽」で行われたようで、西村は矢野編集長などと共に参加。その後、矢野らと一緒に「風花」に流れました。「風花」でも忘年会らしき賑やかな飲み会が行われていて、中華料理の大皿がたくさん置かれていました。そこには島田雅彦もいたらしく、

 島田雅彦氏に、いつホテトルを奢るのか、と難詰される。
 そう云えば三年前の芥川賞受賞時に、拙作を推して下すった銓衡委員の一人である氏には、その直後にホテトルを奢る旨お約束し、あと、それっきりとなっていた。

西村が「苦役列車」で芥川賞を受賞したのは2010年下半期の第144回です。島田雅彦はこの回から選考委員になったので、最初に選んだ作家が西村賢太だったことになります(朝吹真理子も同時受賞)。しかし西村がその恩に報いるため、ホテトルを奢る約束をしていたとは。。

その約束、けっきょく果されたのでしょうか。12月27日の記録には奢ったことは書かれていません。