杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

バルザック本

お題「我が家の本棚」

先日、はてなブログ10周年特別お題に参加して楽しかったので、これからもちょくちょく気が向いたらお題に参加してみようと思います。お題シャッフルをやっていたら「我が家の本棚」というのがあり、これなら答えやすいと感じたので書くことにしました。

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掲載した画像は、私の本棚のある部分。19世紀のフランスの小説家バルザックが好きなので、古書店で作品を見つけてはちょくちょく買い集め、ご覧のような状態になっています。主に岩波文庫で買っていますが、単行本で買ったものもあり、それは奥に並んでいます。

バルザックの著作は膨大な数にのぼり、中でも小説作品の大半は「人間喜劇」として体系化されています。「人間喜劇」に属さない小説作品も多数販売されており、まぁ、とにかく膨大です。

私は小説でも映画でも、古典作品に触れることが大切だと思っています。現代作家の作品を味わう中でも、ときどき古典を差し挟んでその世界を感じるようにしています。今も一般に流通している古典作品は、長い年月の間に多くの人の鑑賞や批判を受け、それでも捨てられずに生き残っているものです。すべての古典がそうだとはいいませんが、やはりそれなりの普遍性や、描かれる世界の豊かさを持っていると思います。バルザック作品はすべて19世紀なので、「古典」というには新し過ぎますが、それでも百年以上の長きにわたって生き続けていて、それなりの読み応えもあると思っています。もちろん、駄作や失敗作がないわけではありません。

持っている中で珍しいものといえば、水野亮訳の長篇『ウジェニー・グランデ』や、同じく水野訳の長篇『従妹ベット』でしょうか。バルザック作品は岩波文庫でたまにリクエスト復刊されています。『従兄ポンス』や『「絶対」の探求』などの長篇は新刊書店にも置いてあり、その他にも『艶笑滑稽譚』『ゴプセック 毬打つ猫の店』なども見ることができますが、『ウジェニー・グランデ』『従妹ベット』は古書店でもまず見ることがありません。とはいえ…まぁ、アマゾンで探せば高価なコレクター品も含め、けっこう出ているようです。ただ、私はそんなに性急にバルザック作を渉猟しようと考えておらず、古書店を覗いて見つけたら買う、というスタンスでやっています。

本棚を見るとその人の人間性が分かる、などと聞いたことがあります。その通りだと思います。これまで古書の断捨離はたびたび行い、また興味が移り変わるに従って買う本も変わったりして、本棚の表情は長い年月の中でずいぶん変わりました。それは言うなれば、私の人間性が年を経るごとに変化している証でもあるでしょう。ですがバルザック作品については、我が書架を去った本は恐らく一冊もなく、むしろ時間を経る中で増え続けています。

その他にも本が増え続けている作家はいますが、それはまた別の機会に。