杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

金融小説

池井戸潤『金融探偵』(徳間文庫、2007年)を読んでいる。銀行を辞めた男が銀行や証券会社など金融機関に関わる様々な事件を追究していく話だ。

金融がらみの小説というと、「半沢直樹」シリーズとか池井戸潤の有名作はもちろん、古くは高杉良が書いているし、真山仁もそうだし、石田衣良も金融小説を手掛けている。

お金というのは人間の人生や生活に少なからず影響を及ぼし、またお金とか財産に対しどういう認識を持つかによって生き方も行動も大きく変わる。バルザック『ウジェニー・グランデ』の水野亮の解説に書いてあるが、バルザックは人間のドラマを描く中にお金の問題を持ち込んだ。人間を描く上ではお金のことは避けて通れないと思うし、お金に注目すればその人の人間性の一端が見えてくるとも思う。

企業小説とか金融小説というとエンタメに分類されるかも知れない。しかし果たして本当にそうだろうか。そんなことを考えつつ、私もお金にまつわる人間のドラマを書いてみたいと思っている。

そういえばバルザックには『ニュシンゲン銀行』という小説もある。