杉本純のブログ

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ジョーク

本多信一『内向型人間の仕事にはコツがある』(大和出版、1997年)を読んでいて、ハッとさせられる箇所があった。

 内向型は神経質なほどに倫理的で、人の迷惑になるほんのちょっとした罪さえしでかすことはない。内向型はすぐ過敏に反応するが、しかし真実・真理にもっとも早く感応する過敏さである。自分たちの口から出す言葉には慎重となるから、必然的に無口になる。人々を喜ばせるシャレや冗談、ジョークというものが、言えない。(ジョークというものが、どこかで弱い人を傷つけていたり、自分もまた心ない他人のジョークに傷つけられたことがあるから…)

ハッとしたのは後半部分である。

私は昔から、他人から冗談が通じないと笑われたり呆れられたりしていた。一方で、冗談を言って、それで相手を傷つけてしまったことも一度や二度ではないのである。

気の利いたジョークを言える人間になりたい、ユーモアのある人間になりたい、などと考え本で勉強したこともあったが、どうも上手くいかなかった。それはつまり、人を傷つけないジョークを思いつくことが困難だったからじゃないかと思う。

他人が言う冗談で自分が傷ついても、相手はその言葉を冗談で言ったのだということがわかり、傷つけられた怒りをいくらか割り引いてしまう。しかし、自分が冗談を言って相手が傷つくと、私はそれを察知し、とんでもない罪悪を犯したように思ってしまう。

私はもしかしたら、ジョークとは縁遠い人間なのかも知れない…そう思った。自分がジョークを言えないからと言って、「無理して」ジョークを身につけなくても良いと思う。ただし、ジョークは張り詰めた場を和ませたり、傷ついた人を癒やしたりできるはずだ。私はそういうジョークを言う力は身につけたいと今でも思っている。