杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

ハードボイルド風推理小説

大沢在昌の小説推理新人賞受賞作「感傷の街角」(『感傷の街角』(角川文庫、1994年)所収)を読んだ。冒頭数ページで、これはハードボイルドだ、と思った。

不良少年に依頼され、少年がかつて関係を持った女を捜す、という内容。舞台は横浜だが、六本木なども出てきて、登場人物の雰囲気を通して街の雰囲気も感じられる。

推理小説のような要素はあまり感じなかったが、いくつかの謎がストーリーを引っ張っていく形になっている。私がハードボイルドだと思ったのは、人物の性格とか台詞とか、酒とか車とかの描写がなんとなくそう感じたのだが、実はハードボイルドがどういうものかよく分かっていない。池上冬樹の解説を読むと、本作について生島治郎が小説推理新人賞の選考座談会で、ハードボイルドとはっきり言えないが、ハードボイルドのフィーリングを持った小説だと思う、と言ったらしい。ハードボイルド風推理小説ということか。