杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

安藤忠雄『仕事をつくる 私の履歴書』

安藤忠雄『仕事をつくる 私の履歴書』(日本経済新聞出版社、2012年)を読んだ。私は建築はぜんぜん詳しくないが興味はあって、街中の建物を見るのも好きである。

本書は著者の自伝だが、著者自身の仕事観や生き方や考え方が述べられており刺激的だった。プロボクサーを辞めて建築家になり、施主とは時にぶつかりながらも自らのイメージを形にしていこうとする仕事への姿勢は、努力というよりは執念に近いと思う。物事を端的かつはっきりと述べる文章の行間からは、さながらボクサーのような野性の眼と闘争心が見えてくる感じがする。

 人々は考えなくなり、闘わなくなった。経済的な豊かさだけを求め、生活文化における本当の意味での豊かさを忘れてしまった。

飼いならされた子どもたちに野性を取り戻させたい。野性を残した子どもたちが知性を身につけ、自らの意思で世界を知り、学べば、日本を生まれ変わらせる可能性をもつ人材が育つだろう。

上記のような箇所を読み、こりゃいかんなぁ…と思った。日本や子供の未来への思いが語られているのだが、なんだか私自身も叱咤激励されている気がしてくるのである。