杉本純のブログ

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主題の展開

長年小説を書いているが、自分の小説構想、執筆における初歩的な欠点が分かった。ひとまず主題はあるのだが、それが発展していないことだ。

以前ある人から、私の小説は「ストーリーが貧寒」だという風に言われたことがある。それはいろんな意味を含んでいたと思うが、一言でまとめると、主題が発展していないということではなかっただろうかと考えている。

宮原昭夫の『増補新版 書く人はここで躓く!』(河出書房新社、2016年)では、小説は「一種の時間芸術で『設定』から『新局面』までの時間的『展開』の中で、主人公その他の人間像と、人間関係を描き出しつつ、それが変質して行く軌跡を捉えるものだ」とされ、設定、展開、新局面という三つのステップが提示されている。

けれども私の小説の多くは、主題らしきものが匂わされはするが、ああでもなくこうでもなくぐるぐるぐるぐる同じところを回り続ける感じで、なんと言うか、いっかな前に進まない。現状からのアクション、行動へと移る目的がなかったように思う。この状態は、書いていて辛いものなのだが、私はその辛さをもっと大きな「創作の辛さ(産みの苦しみのようなものか)」と混同していたような気がする。

今も新たな小説の想を練っているところだが、形式にはまるという意味ではなくて、主題の展開ということをもっと意識せねばと思う。