杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

創作雑記

私小説を書いている。この頃、小説を「書く」ことと「作る」ことを繰り返している内に色んなことに気づいたので「創作雑記」として書き留めていこうと思う。

私小説ということもあり、テーマを考えるよりも先に体験があり、この辺りの時期の自分の感情や行動を小説にしてみたい、と思って作り始めた。

事実(実際の出来事)から、読者に訴えうる「主題」が思い浮かぶ。次に、その主題に沿って実際の出来事を見つめ直す。実際の出来事を時系列に並べ、主題の照明で照らして見てみるのだ。すると、時系列に並ぶ連続した出来事の内のいくつかの出来事が、影を落とし、それらが一つの「流れ」を形成している。つまり、とびとびながら何らかの一貫した行動が見て取れる。

もちろん実際の私はそんな流れに沿って生きていたわけではない。毎日、あらゆる雑多なことを思い、考え、色んなことしていた。そこに一貫性を見出すことは、少なくとも外から見る限りでは難しい。しかし、当時の私の精神状態や行動を一つ一つつぶさに見直していくと、うっすらとある流れのようなものが見えてくる。

その流れが、基本的なストーリーになる。ストーリーは叙述されて小説の経糸となるが、それだけでは小説たり得ない。緯糸が必要になる。それが描写。

なんでもかんでも描写すれば良いわけではない。ではどうするか。心理描写、情景描写、人物の外見の描写…。色々あるが、基本的にそれは小説にリアリティを加えるもので、ストーリーの進行を停滞させるものでもある。私は、直接的にせよ間接的にせよ、やはりテーマを訴える(表現する)描写が望ましいと思っている。