杉本純のブログ

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毎日書くこと5

佐伯一麦の仕事机の上には電鍵があるそうだ。佐伯の随筆集『月を見上げて 第二集』(河北新報出版センター、2014年)の「電波の日」に書いてある。

佐伯は小学生から中学生まで、アマチュア無線をやる無線少年だった。その名残で、「トン・ツー」というモールス信号を打つための電鍵があるのだが、今ではそれを原稿類の上に置く重しの代わりとして使っているという。

また、電鍵を机に置いているのは、作家としての腕が衰えないよう毎日練習することを肝に銘じているからでもあるそうだ。それは、仙台電波高専を卒業した丸山健二が、自分は無線通信士を目指していた時にトン・ツーをやっていたが、小説もそれに似ていて、腕を維持し高めていくためには毎日練習しなくてはならない、と語ったことに由来している。

私は佐伯のように意味を持つアイテムを常備しているわけではないが、たしかに毎日書かないと腕は落ちると思っている。