杉本純のブログ

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一倒

先日、立花隆の『青春漂流』を読んだ感想をまとめて記事にしたが、その中に、青春を表すキーワードとして、試行錯誤、暗中模索、七転八倒などの四字熟語を挙げた。

話は変わるが、ついこの間、私がおよそ六年以上を費やして取り組み、しかし結局一つの作品にはまとまらず、その断片すらもどこにも発表できていない「ある仕事」が、私以外の人の手によって一応の完結をみることとなった。ちょっと分かりにくい書き方だが、要するに、六年もかけた仕事が思い通りの形にならず終わってしまったということだ。

その六年とは、三十代の前半から今くらいにかけての期間だ。思い返すと、時間も金もけっこう注ぎ込んだ。それらを別のことに注ぎ込めば、それなりの大きな仕事ができたかも知れないと思うと、遺憾の念がふつふつと沸き起こってくる。

しかし、これも七転八倒のうちの「一倒」なのかも知れないと思った。そして二十代三十代を振り返ると、そんなことの繰り返しだったなと思える。