「らくじょういちにち」ではなく「らくじょういちじつ」。「築城三年落城一日」ともいう。企業刊行物の編集・ライターの仕事をしているとよく出くわす言葉。主にコンプライアンスについて経営者が自らの戒めのように言っている。
企業不祥事はもちろんのこと、芸能人や大学教授がセクハラをしたあげく失脚する例など、ニュースでしょっちゅう見ている気がする。その転落の様は時に悲惨な感じがするが、一寸先は闇、十年かけて築いた城でも一日で落城してしまうということだと思う。
築いてきたものが大きく、すばらしいものであればあるほど、悪いことをしてしまい転落した時の痛手も大きい。以前、ある経営者が「コンプライアンスは0か1」と言っていた。つまり、業績や顧客満足度や従業員満足度をいくら積み上げたところで、コンプライアンスでアウトになることをすればそれは「×0」で、結果すべてが0になってしまう。とはいえセーフであっても「×1」で、維持はされるもののプラスにはならない。それくらい、地味で成果が少ない活動だが、怠るととんでもない結果を招くことがある。
ただ、それはそんなに大袈裟なことではなく、人として当たり前のことをしていれば問題はないはずだ。それなのに、人間は時に道を踏み外してしまう。弱い生き物だと思う。