杉本純のブログ

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ドーパミンとの付き合い方

油断は禁物

人間の脳は、ドーパミンオキシトシンセロトニンという物質の分泌により、幸福感を覚えるそうです。そのことから、この三つの物質は「3大幸福物質」と呼ばれているそうです。

セロトニンは、爽やかであったり安らかな気持ちになったりしたときに出る物質で、主として心身の健康につながっているらしい。オキシトシンは、家族や友人などの人間や動物とのつながりや愛情を感じることで出る物質とのこと。そしてドーパミンは、ドキドキしたり、興奮したりすることで出てくる物質で、高揚感をもたらします。しかしこのドーパミンに限り、セロトニンオキシトシンと違って中毒性があるとのことで、同じ体験では次第に満足できなくなり、次々に新しい体験を求めてエスカレートしていく傾向があるそうです。

過去にもこのブログで書きましたが、この3大物質は、セロトニンオキシトシンドーパミンの順で下から上へピラミッド状に積み上げるようにあるのが良いと、精神科医である樺沢紫苑は『精神科医が見つけた3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法』(飛鳥新社、2021年)で述べています。

つまり、心身の健康が基礎にあり、その上に人間関係があって、その上で快楽やお金や成功を得るのが良い、ということ。私は二十代から三十代にかけて、藝術家としての成功を夢見て頑張りましたが、心身の健康を損ない、こじらせてしまったために友人関係も壊れてしまった挙げ句、けっきょく藝術家の成功は摑めませんでした。これは言うなれば、ドーパミンに翻弄されてセロトニンオキシトシンが不足し、健康も人間関係も損なってしまった、ということかと思います。

現在は状況がいくらか改善していますが、油断するとすぐ不味い状態になります。例えば私はゲームに夢中になりやすく、夜中までやりこんでしまって睡眠の質を落とし、翌朝は不快な状態で起きる、ということがたまにあります。ドーパミンに翻弄されやすいのです。

私はもしかすると、ドーパミンに敏感であるという特性を持っているのかもしれません。それを活かすことができれば、ひょっとしたら成功を摑めるかもしれませんが、これまでの人生を思うと、ドーパミンとはうまく付き合っていかなくてはならないと強く思います。

人を夢中にさせ、中毒にしてしまうものは多くあります。ゲームはもちろん、お酒、ギャンブル、恋愛などです。それらの内のどれかを始めると、つい夢中になってしまうという人は、その方面の才能の欠片を持っていると言えると思います。けれども、くれぐれもドーパミンに翻弄されず、うまく付き合っていくといいでしょう。