杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

自分の国

エズランディア

ポール・フライシュマン作、ケビン・ホークス絵『ウエズレーの国』(千葉茂樹訳、あすなろ書房、1999年)を読みました。

ちょっと天才肌で、学校では浮いてしまっている風変わりな少年・ウエズレーが、夏休みの自由研究で自分だけの文明を築き始め、やがて周囲の子たちを巻き込んでいく話です。ウエズレーは自分の国を「ウエズランディア」と呼んでいます。

いじめられっ子がその個性と発想で立場を逆転させる痛快な物語で、『ダンボ』といい、過去に同種の作品は数多あります。しかしウエズレーはそもそも個性が突き抜けており、周囲の反応をものともしないほどぶっとんだ存在で、いじめられっ子の逆転人生といえど『ダンボ』のような感動はありません。とはいえ、自分の感性を爆発させ文明(自分の国)をつくろうとするところなどは、いじめられっ子に限らず、不登校者や引きこもりなど自己肯定感の低い人には生きるヒントになるのではないかと思いました。

感性や趣味や思考が他人と違っていて、それで周囲から浮いているなら、無理に周囲に合わせようとせず、思い切り自分の世界を爆発させる方がいい。もちろん、傍若無人になるのではなく、承認欲求を満たすために自分を欺いて周囲に合わせるくらいなら我が道を往く方がいい、ということです。