杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

真実と果実

「面白くてためになる」ということ

これまである程度の量の小説を読み、映画を観て、自分自身も小説やシナリオを書いてきましたが、なべて作品というものは真実を表し、なおかつそれ自体が果実であることが大事だと思いました。

いきなりそういう想念が湧き上がったのではなく、ドラマ化された松本清張の作品を見て思ったのでした。

最高の価値を表す「真善美」という言葉があり、それでいうなら「真かつ美」であることが求められるんだろう、ということ。善については、置いておきます。

作品自体が、真実味をもって迫ってくる強さを持ち、だからといって単なる記録にはせず飾りや演出を施し、味わって美味しい果実のようになっていること。

たぶん、真実と果実のどちらに偏り過ぎてもダメで、双方の要素を含んでいなくてはならない。三田誠広に『深くておいしい小説の書き方』(集英社文庫、2000年)という本がありますが、まさに「深い真実」であり「おいしい果実」でもあることが肝要なのだろうなと。以前このブログで「面白くてためになる」という記事を書きましたが、同じことですね。