小説は「書く」だけじゃない
こないだ一篇の小説を書き上げ、今、また次の新しい小説に取り組んでいます。
前作を書き上げた後の反省は、小説のストーリーの背景になる作品世界を充実させないと小説そのものも充実しない、ということです。
鈴木輝一郎先生のワナビ向け本では、小説を書くための「取材」の重要性が力説されています。登場人物の履歴書を書いたり、作品の舞台について知見を深めたりすることを怠るな、と。
小説執筆の過程で書くことがなくなって行き詰まった時、ストーリーに直接関わりのない部分を充実させてみたら、人物の別の側面ができて書き進められたことがありました。
その直接関わりのない部分が、いうなれば作品世界、小説の背景であり、人間というのはやはり現実の世界でも小説の世界でも環境と呼応して生きているんだ、という気がします。
小説は「書く」ものですが、それはストーリーを記述し、情景を描写する行為であって、それ以前の小説世界を「創る」行為も同じように大切じゃないかと。当たり前のことかと思いますが…。