若くしてデビューできなかった二人
朝日新聞3月12日朝刊25面の読書コーナー「ひもとく」には作家の真梨幸子による「西村賢太の私小説」が掲載されています。
内容は全体に、西村の作品の感想と西村との思い出などを綴ったもので、評論というよりはエッセイになります。このコーナーは毎回、一つのテーマについて三冊が書影とともにピックアップされていますが、今回は『どうで死ぬ身の一踊り』(角川文庫)、『瓦礫の死角』(講談社)、『形影相弔・歪んだ忌日』(新潮文庫)です。
西村と真梨といえば、「en-taxi」vol.44(2015 spring)での対談「ボードゲームと再現フィルムの小説法」です。共に若くしてデビューできなかった二人はこの対談の中で、それぞれ自分が若い間にデビューできなかったことを肯定的に受け止めています。私は二十代の間にデビューしたかったのに全然できず苦しんだ経験があったので、この対談は共感するところがあります。