杉本純のブログ

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西村賢太の「日乗」シリーズ

貴重な記録

西村賢太『一私小説書きの日乗』シリーズを読んでいます。

読んでいるといっても、耽読するほどではなく斜め読みです。文学研究の一環で、研究対象が西村と接触があった人であるため、「日乗」に登場していないかと思って渉猟しています。

私が知る限り、「日乗」シリーズは全7冊出ており、他にも『一私小説書きの弁』『一私小説書きの独語』という随筆集が出ているので、「一私小説書き」シリーズとしては計9冊出ています。

私はまだ全冊読破していませんが、随筆集は文字通りの内容でしょう。一方、「日乗」シリーズの方は日記なので、西村という芥川賞作家を主体とした出版界の記録として、貴重だと思います。最初の『一私小説書きの日乗』は文藝春秋から2013年に、最後の『一私小説書きの日乗 堅忍の章』は本の雑誌社から2021年に、それぞれ発行されています。私は数冊読んだ中ですでに自分の研究対象に関する記述を数か所発見し、対象者と西村の関係について理解を深めることができました。約10年にわたる日記はやはり貴重な記録というべきでしょう。