病院の場合
アメリカのある病院で、手術室がつねに予約いっぱいになっていて、スタッフも含めて心理的余裕のないカツカツ状態で仕事を続けていたが、手術室を緊急専用ということで一つ空けておく、という決断をしたら、手術受け入れ件数を高める効果が得られ、病院の収入も増えたそうです。
私は以前このブログで「余裕が次の余裕を生む」という記事を書きました。上のエピソードは、まさに余裕が余裕を生んだと思える事例で、我が意を得たりといったところです。
マルチタスクのクリエイティブ業に従事している知人がいますが、一日のスケジュールがパンパンで朝から気持ちに余裕がなく、夜までぶっ続けで仕事をしてヘトヘトになる、といった事態にしばしば陥っています。思うに、どれだけ忙しくてもその中に一定の余裕、隙間風が通る余地を作っておくことが大事です。具体的には、昼食後に軽く昼寝をしたり、作業の合い間に外に出て太陽の光を浴びる、などです。
忌野清志郎の場合
心身にのしかかっているストレスは目には見えず、だから自覚症状がないままダメージを溜め込んでしまうことになるんだと思います。先にクリエイティブ業の従事者のことを述べましたが、何か創造することを仕事にするならストレスは適度に抑えるに越したことはないと思います。
以前、このブログで忌野清志郎の『ロックで独立する方法』(新潮文庫、2019年)を紹介したことがあります。忌野が、ミュージシャンはスランプがきても大丈夫なように、調子のいい時に曲を作りためておくのがいい、といったことを述べていました。
これこそ「余裕が次の余裕を生む」で、病院のエピソードに通じるものも見出せるでしょう。人間、多くの場合、追い込まれると本来の力を発揮するのは難しいと思います。