杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

図書館の使い方

井上真琴『図書館に訊け!』(ちくま新書、2004年)を読んでいます。これは同志社大学図書館に勤める(少なくとも本書刊行時点で)著者が、図書館利用の「基本から『奥の手』まで」を伝授する本です。図書館に関する書き物をしようと考え、実際に執筆に着手していることもあり、知見を深めるために手に取りました。

著者は本の雑誌社の『図書館読本』の帯コピー「図書館。誰もが知ってる未知の国。」を引用し、「言い得て妙」だと書いています。図書館。誰もがその存在を知っているけれど、その本質を十分に知り、機能を活用できているかと問われれば疑問符がつく。図書館で働く図書館員ですら、利用者とのやり取りの中で自分の勤める図書館について新たに知ることが多い、とのことです。

私は自分を図書館ヘビーユーザーだと思っていましたが、それは量的な面だけで、調べる面ではまだまだ浅いかも、と思いました。現に、例えば文学者や文学作品の研究をしていても、求める情報にたどり着けないことは少なくない。ネットでの検索はかなりしますし、他の図書館からの協力貸出もお願いすれば、レファレンスサービスを利用することもあります。事実を元に自ら推理し、新たな事実にたどり着けたことも数度ありました。

とはいえ、中には高難度の調べ物も多く、それらはいろいろ手を尽くして調べてみるもののなかなか事実を掴むことができず、悔しい思いをしています。図書館をさらに使いこなせればいいなと思うので、本書でじっくり学びたいところ。

学校では図書館の使い方は貸出と返却くらいしか学んだことがありませんでした。大学で研究者の道に進めば先輩や先生から教わることができたのでしょうけれど、そういう道を往かなかった私は社会人になってからライフワークで文学研究を開始し、立花隆の『「知」のソフトウェア』などを読み自己流で調べる方法を身につけていきました。図書館は使いこなせるようになればなるほど便利な存在であり、学生時代に今くらいの知見を身につけていれば、間違いなく私の進路は違っていただろうなと思います。