杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

共感もほどほどに…

高野優『HSP!自分のトリセツ』(1万年堂出版、2019年)のサブタイトルは「共感しすぎて日が暮れて」である。そう。共感するのは悪いことではないが、共感し過ぎてしまうと自分の時間がなくなってしまうのである。時間は人生そのものだから、共感のし過ぎは人生の損失なのである。

先日、複数の人と、自分の今の仕事の課題や今後のキャリアのことなどを話した。私自身はあまり発言しなかったが、聞いていただけなのに、ぐったりと疲れてしまった。その後もわりとハードな仕事をしなくてはならなかったので、辛い一日だった。

恐らく、その話し合いで疲れたのは、共感し過ぎたからだろうと思う。高野さんの本では、人の悩みを聞く時は精一杯に寄り添うが、冷たいようだけれどある程度のところでバウンダリー(境界線)を作らせてもらうとある。偶然だが私も、話し合いの後に自分なりに気持ちを整理して、あるところで線を引き、あとは冷たく突き放さなくては駄目だと思った。そうでないと、私の神経が磨り減ってしまう。

私が神経を磨り減らした相手がその事実を認識し、次は私のために同じように神経を磨り減らして寄り添ってくれるのかというと、そんなことはない。ある程度は耳を傾けてくれるが結局は、お前の個人的な課題や悩みなどは知ったこっちゃないとばかりにそっぽを向いてしまうのを、私は経験を通して知っている。相手が不公平で悪いのではなく、自分が駄目になるくらいに相手に共感すること自体がそもそも良くないのである。共感するのも、ほどほどに…