杉本純のブログ

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くぼりこ「爆弾犯と殺人犯の物語」

第43回小説推理新人賞受賞作。雑誌を買って読んだ。以下ネタバレあり。

主人公の男は高校時から爆弾づくりを趣味にしていて、片方の眼が義眼の女を愛するようになり、結婚する。しかし女は、男がかつて作った爆弾の爆発で飛んだパチンコ玉によって片方の眼をつぶされていた。女は夫が犯人であると気付いていないようだが、気付いているようにも感じられる。二人の会話は真相に近づいたり遠ざかったりする。女がかつて不倫していた男の娘が女を訪ねてくる。娘は、女がかつてベビーシッターとして面倒見ていた相手であり、片目を奪った爆弾の箱を開いた張本人でもある。主人公の男の爆弾づくりの趣味は現在も続いていて、山奥に作業場も持っている。かつて、その場所の近くに隕石が落ち、そこに公園ができて隕石落下記念のモニュメントが作られる。主人公はその場所で爆弾を爆発させ、後日そこを訪れた際、黒い携帯電話を見つける。その持ち主が義眼の女で、二人はそれで出会う。携帯電話は、義眼の女が隕石の公園で不倫相手の男を殺した時に落としたものだった。…主要キャラが特異で、サスペンス的要素が強い小説だと思った。