杉本純のブログ

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アスベスト訴訟最高裁判決と佐伯一麦

5月19日(水)の朝日新聞天声人語は、アスベスト被害の訴訟で最高裁が建材メーカーに賠償責任があることを認めたニュースについて述べている。その冒頭、佐伯一麦が1980年代に電気工として働く中でアスベストの粉じんを吸い、胸を患ったエピソードが紹介されている。そして当然、佐伯の『石の肺』も触れられている。

私はアスベスト禍についてはそれこそ佐伯の著作を通じてしか知らないが、やはり重大な問題だと感じる。また、労働者だった当時の佐伯は日本の産業史、経済史の裏面に位置していたように思える。それは佐伯の初期私小説を読む上で、というより同時代の他の小説との比較をする上でポイントになる気がする。