杉本純のブログ

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合成の誤謬雑感

ミクロの視点では合理的な行動でも、それが合成されたマクロの世界では好ましくない結果が生じること。そんな言葉があったのね。証券用語であるらしい。例えば、ある人が貯蓄をすれば、その人は資産が増えるが、全員が同じように節約すると国全体の消費が減退してしまう、という。

一理あると思う。しかし、これが正しい、という何らかの主張に対する否定として、この合成の誤謬が使われるのをたまに見かける。上の節約の例でいえば、皆が節約したら経済は回らないんだから節約しようだなんて言うな!ということで、これだとレベルの低い否定に過ぎず、議論は進まない。

これなら全員が良くなって言うことなしだぞ!などと言う奴がいたらその場合には合成の誤謬で反論すればいいだろう。大切なのは、批判をした上で、そこから議論を深めていくことではないか。