杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

自分という船

築山節『脳と気持ちの整理術』(生活人新書、2008年)を読んだ。時間があるときに拾い読みするように読み続け、このほどようやっと全篇読んだ。

多量の情報がめまぐるしく飛び交う現代において、どう脳を使い、感情をコントロールして生きていくか、そのコツを述べたもの。今ではけっこう聞いた覚えがあるコツが少なくないが、この本が出た頃は目新しいものだったのではないかと思う。

その最終章である第5章「気持ちの整理術」の後半に、「人生の荒波を乗り切るために、自分という船の舵を取る」という見出しがある。人生を航海に例えた場合、自分は海をわたっていく船であり、雨や風は感情を発生させる刺激で、船を動揺させる。転覆して沈んでしまわないように、うまく舵を切って乗り切っていこう。…といったことを述べている。

面白い例えだなと思った。人生=航海というモデル思考である。私自身、思い当たる節はあり、感情を巧くコントロールできないために人生いろいろと損しているな、と感じることが少なくない。ちゃんとコントロールできればいいのだが、難しい。だが、こういう風にモデルを使って説明されると分かりやすく、私のような人間でも少しはコントロールできるようになるかも知れない、と思う。

また別の章では「悲しい話は夜するな」という、島田洋七佐賀のがばいばあちゃん』の一節が紹介されていて、深く頷いた。夜は神経伝達物質セロトニンが少なくなっていて脳にブレーキがかかりにくく、極端なことを考えがちになるという。実際に私も、夜に寝床に入ってから物事を考えると、だいたいは悪い方向へ、しかも極端に悪いことを考えてしまう。だから夜はあまり物を考えないようにしている。これも難しいのだが。。