杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

「書く」ことの強さ

以前読んだ築山節『脳が冴える15の習慣』(生活人新書、2006年)が面白かったので、同じ著者の『脳と気持ちの整理術』(生活人新書、2008年)も買ってぱらぱら読んでいる。思考を整理し、前向きな気持ちを養い、アイデアを生み出すヒントが書かれた本である。この手の本は初めから終わりまで順番に読む必要はなく、「はじめに」を読んで主旨を摑み、あとは気になった時に目次を眺めて興味が湧いたページを開いて読むので構わないと考えている。

今回は第2章の「2『気になっていることリスト』をつくろう」の、「感情から切り離された情報を一枚の紙に」という見出しが気になったので読むことにした。

問題を「見える化」する初歩的な作業は、それを紙に書き出すことであるとのことで、著者はそれを仮に「気になっていることリスト」と名付けている。問題は、頭で考えている間は大きく感じられるが、書き出してみるという行為によって冷静になることができ、時にその問題が馬鹿馬鹿しく感じることもあるようだ。また、その作業はなるべく「リスト」一枚で行うことが大切で、そうすることで自分の状況の全体像が一目で捉えやすくなると言う。

紙に書き出すことによる「見える化」は、私もよくやっている。これはいわゆる「問題」の整理ではないが、仕事だと取材原稿をまとめる際などに、記事で何を述べるかを紙に手で書いて整理する。また、生活や人生で取り組まなくてはならない課題についても紙に書いて分かりやすくしている。小説の構想を練るのも同じで、書き出さないことにはいつまでもぼんやりしたままである。ただし、紙一枚にまとめられるのは仕事の原稿メモくらいのもので、生活の問題や小説の構想はとても一枚ではまとめられそうにない。

それでも、やはり「書く」という行為には頭の中にある観念を言葉に定着させることで客体化できるという効果があり、素朴だがもっとも強力な問題解決法だと思う。他人に話すのも良いらしいが、書く行為は一人でできる。