杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

沈黙は強い。

前にこのブログで、周りから馬鹿にされる人というのは、言う必要のない余計なことを言ってしまている人ではないか、と書いた。やはり沈黙は強いと思う。

これについて最近思い出したのがウィトゲンシュタイン論理哲学論考』(野矢茂樹訳、岩波文庫、2003年)で、その最後の命題は以下である。

語りえぬものについては、沈黙せねばならない。

これについて訳者の野矢は『ウィトゲンシュタイン論理哲学論考』を読む』(ちくま学芸文庫、2006年)で、「いや、沈黙は何も示しはしない。私は語るだろう。」と書いている。『論理哲学論考』も野矢の本も、読んだのはもう十年くらい前のはずで、どちらもほとんど内容を覚えていないが、言う必要のないことは黙っていればよろしい、と経験から思っていることから、ウィトゲンシュタインの「語りえぬものについては、沈黙せねばならない。」は、真実だと思う。