杉本純のブログ

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決めなくていい。

最近気づいたことだが、「判断」という行為はエネルギーが要る。というのは、判断に必要な諸要素を揃え、メリットとデメリットを整理するのがけっこう面倒だからである。

例えば、会社を辞めるか辞めないか、結婚するべきかせざるべきか、独立するかしないか、といったことは人生において割と大きな決断であり(人によって違うが)、勘案するべき事項が非常に多い。それらを全て並べ、整理するのはそんなに楽な作業ではないと思うのだ。財布の中身と相談してちょっと贅沢なものを買うのとはわけが違い、それをやるには、けっこうなエネルギーが求められる。つまり、判断という行為は、けっこうしんどいのである。

それがぱッとできてしまうのは、少なくとも私にとっては一つの才能である。それができる人には、あんたはすごいと言うしかない。

判断は多分、考え始めてから決めるまでは早い方が良いのだろう。私は判断は遅い方だと思っていて、考え続けている間に状況が変わっていたりする。で、いざ判断をしようという時には前に整理したことをもう一度整理し直さなくてはならなくなっていたりする。だからいつまで経っても決められず、エネルギーを無駄に消耗する。

私はひょっとしたら、判断が下手で、向いていないのかも知れない。だから最近は、判断に迷うことがあったら、その判断対象が必要かつ急がなくてはならないものでない限り、判断するのを止めることにしている。人間関係、身辺問題、など何でもそうである。決めなくてはならない、と思うから疲れるのであって、だったらべつに決めなくてもいいわけである。状況の流れるのに任せて、その流れを見ていれば、やがて局面は変わる。それでいい。ひょっとしたら自分にとって都合の良い状況になっているかも知れないし、あるいはその逆になるかも知れないが、どのみち悪い状況になることはあるのだから、エネルギーを大量に使って判断した挙げ句に悪い状況になって後悔するよりはマシだろう。