杉本純のブログ

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「繊細さん」雑感

武田友紀『「繊細さん」の本』(飛鳥新社、2018年)を読んだ。かなり話題の本だったこともあり、図書館では100人を超す人が予約をしていたので、借りるまでに時間がかかった。

「繊細さん」とは、HSP(Highly Sensitive Personの略)のことで、生まれつき繊細な人、という意味。何事も感じやすく、気がつきやすいので、そうでない人よりも対人関係や仕事で疲れやすい。本には、その「繊細さん」がうまく世の中と折り合いをつけ、自分らしく生きていくためのアドバイスが書かれている。

本の中には、読者がHSPかどうかを自己診断できる複数のチェック項目があり、私も試しにやってみたのだが、見事に「繊細さん」である。

私は本書の関連本『繊細さんが「自分のまま」で生きる本』(清流出版、2019年)も読んだが、「繊細さん」が、人間関係を含む外部環境にいかに対応し、自分の世界を守り育て、自分の人生を切り拓いていくかについては、著者の武田さんの考えにほぼ同意する。

一方で、本書とは別のところへも想像を広げている。それは、世の中には「繊細さん」なのだが自覚していない、あるいは武田さんが考えているのとはぜんぜん別のやり方で生きている人がいるのではないか、ということだ。それは、あまりに繊細であるために、もう世の中のどこにも逃げ場がなく、仕方なく繊細さをかなぐり捨てる人である。そういう人は、一見すると無慈悲な人とか乱暴な人に見えるが、傷つきやすかったり恥ずかしがり屋だったりする。私がこれまで関わってきた中に、そんな人が何人かいたように思う。