現在、過去に書いた小説やシナリオの書籍化に取り組んでいる。その過程で過去作を読み返したのだが、この時期の私は間違いなく厭世主義者だったな、しかもかなり中途半端な奴だったな、と思った。
社会には汚いものが多いし、狡い奴も多い。フェアでないことがあまりに多くて嫌になるが、それでペシミストになるならそれはそれで結構なことである。世を捨て、風狂でも漂泊でもやればいい。かつての私は、一時期そういう願望を抱いて生きていた。それでいて、実際に漂泊の旅には出ず、やる気もあまりないまま会社に属し、給料をもらい、各種行政サービスを享受していたのである。それだけならただのダメ男ということだろうが、あまつさえ私は政治や政治家や経営者などを否定し、馬鹿にしていた。馬鹿なのは、私の方だったというしかない。
世を嫌っても、権力や会社や組織を否定しても構わない。だが、その思いにふさわしい行動が伴っていないなら、幼稚で中途半端な奴だと言うしかないと思う。