杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

「現在地」を知る

ビル・バーネット&デイヴ・エヴァンス『LIFE DESIGN スタンフォード式 最高の人生設計』(千葉敏生訳、早川書房、2017年)を読んでいる。自分の人生の「現在地」を知り、そこからライフデザインのスタートを切るために、まず人生を健康、仕事、遊び、愛の四つの分野に分けて評価する必要がある、とある。

この四つがそれぞれどれくらい満たされているか、不足しているかが分かれば、そこから改善の一手を打てるようになるというわけだ。つまり、自分の人生の「現在地」が分かる、ということである。面白い。

ここからはこの本とはぜんぜん関係ないのだが、私はかねて、シナリオや私小説の構想を練り、執筆する段階でこういうことをやっていたなぁ、と思い出した。もっとも、構想を練る初めにそういうことをやるのではなく、どういう話にするかは最初からある程度決めていて、構想や執筆の進行に詰まった時に原点に戻るためにこういうことをやっていた。

主人公は何らかの不足を補い、満たそうとして行動を起こす、それがストーリーの基本ラインになる。これはシナリオの基本的な骨格である。それは戯曲の創作にも言えることだし、小説の筋にもなりうる。

「現在地」という呼び方は示唆的である。この本は人生を地図のように見て、現在地から目的地へ正しく進む方法を紹介しているのだが、小説もシナリオも、たいていは主人公が現在地から目的地へと進もうとする過程を描いている。