杉本純のブログ

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里見弴と瀬戸内寂聴

佐伯一麦『月を見あげて』(河北新報出版センター、2013年)の「落花の風情」は、佐伯が育てた椿が花をつけたことが話題だが、後半は里見弴の短篇「椿」について書かれていて面白い。

「椿」は原稿用紙8枚ほどの短篇で、「改造」1923年11月号に掲載されたが、この作品について里見は瀬戸内寂聴との対談で「八枚だっていいものはいい。紙がなくなろうと、印刷機がなくなろうと、やろうと思えばできる」という気持ちで書いた、と語ったそうな。

そうだ!と心の中で膝を打った。私自身も、書きたい気持ちがぐっと出てきた時はチラシを取って裏に書いたりしたもので、パソコンがなくても原稿用紙がなくても、書こうという気持ちあれば小説は書ける。