杉本純のブログ

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佐伯一麦と中沢けい

佐伯一麦島田雅彦小林恭二山田詠美川村毅中沢けいなどの作家たちが二十代の頃に「奴会」という勉強会を開いていたのは、このブログで前に書いた。

佐伯は『月を見あげて』(河北新報出版センター、2013年)の「月の友 ―中沢けい」で中沢との思い出を語っていて、その中で「奴会」にも触れている。「奴会」は月に一度ほどのペースで行われていたようで、勉強会をした後は飲み会になるのがお決まりだったようだ。酒場に年長の作家や批評家がいれば佐伯などが議論を吹っ掛けたらしく、それを「ハラハラしている姉といった面持ちで中沢さんがたしなめることがあった」とある。

佐伯と中沢は同年である。中沢が『海を感じる時』で18歳でデビューした時、それを池袋の映画館のオールナイトに並ぶ列で一気に読んで刺激を受けた。それが最初の出会いだったという。