杉本純のブログ

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会社は誰のものか

「会社は誰のものか」という議論は、昔けっこう盛んに行われた。しかし、今でもこの手の話題はときどき耳にするし、各人の考えに耳を傾けてみると、人それぞれ考え方が違っているようだ。ある人は、会社は株主とか経営者のものだと思っていて、ある人は社員のものだと思っている。

佐藤雅彦竹中平蔵『経済ってそういうことだったのか会議』(日経ビジネス人文庫、2002年)には、かつて電通に勤めていた佐藤さんが、電通は自分の会社だと思っていて、会社を辞めた翌日からは会社とぜんぜん関係がなくなって、寂しくなったというエピソードを述べている。

これに対し竹中が、オーナーが見えている会社だったら「この会社はあの人のものだ」と思うようになり、自分の会社だとは思わない、その点、オーナーというコンセプトが稀薄な日本では社員が会社を自分のものだと思うようになる、という説を紹介している。

竹中は日本企業のそういう特徴を否定せず、オーナーがいないから配当しなくて済み、内部留保が大きくなって設備投資に回すことができた、といったメリットとして働いた面も紹介している。

私は会社を自分のものだと思ったことはほぼない。なぜかというと、やはり物書きを志向していたことが大きいと思う。会社を自分のものだと思うと、やがて、社内で派閥を形成し、好き勝手なことをやり始めるようになる気がする。そういうのは嫌だ。