杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

お金の前提

佐藤雅彦竹中平蔵『経済ってそういうことだったのか会議』(日経ビジネス人文庫、2002年)が面白い。私が読んでいるのは2009年に出た29刷で、かなり売れたんだろうと思われる。

たぶん2005、6年頃に人から勧められ、読みたいと思っていた本だが、ずーっとその機会がないまま十年以上経った。最近、お金について学びたいと強く思うようになったので思い出して、古書を買った次第。本のある人生というのは、しばしばこういう、何年越しかの再会になる本が出てくるものだ。

本書は「経済」全般をめぐる、佐藤と竹中の対談を収録したもの。本文に沿うように、キーワードになる言葉「竹中語録」が載っているのだが、その最初は「信じるという行為がなくなったらマネーってなくなっちゃうんです。」というもの。

お金は「信用の数値化」だと色んな人が言っているが、ここでも…という感じ。佐藤雅彦さんが最初に話す「牛乳瓶のフタ」のエピソードは面白いほど良くできていて、どうもこの対談にはシナリオがあったんじゃないかと思わせるが、お金は信用を数値で表したものだから、「信じること」がなくなれば当然お金は何の意味もなさなくなるのだ。

佐藤さんはEテレピタゴラスイッチ」の企画・監修をやっている人。