杉本純のブログ

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古井由吉『人生の色気』

古井由吉『人生の色気』(新潮社、2009年)を読んでいるが、これは古井からの聞き取りをもとに編集部が文章を構成したもので、佐伯一麦島田雅彦などが聞く側に同席している。全六章あり、第三章「年をとるのはむずかしい」は、佐伯が同席して2008年12月3日に聞き取りが行われた。文章は古井の一人語りになっているが、「電気工」という言葉が出てくる辺りは、佐伯を前に話しているのが分かる。佐伯の名前を出しているところもある。

各章とも、作家の生き方と、その背景にある時代相などを語っている。まだちゃんと読んでいないのでゆっくりちゃんと読みたいのだが、そもそも、どうして対談形式でないのだろう、という疑問がないではない。あるいはインタビュアーとして島田や佐伯を登場させても、それはそれで十分に読み応えが増すだろう。私としては、古井の言葉に後輩の作家たちがどう反応したのかが気になるところでもある。