杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

睡眠五時間

吉村昭の『私の文学漂流』(ちくま文庫、2009年)はもうずいぶん前に読んだ本だが、第九章の「睡眠五時間」がやたら印象に残っている。1927年生まれの吉村は1959年頃(つまり32歳くらいの頃)、団体事務局に勤務する傍ら小説を書き続けていて、深夜二時まで机に向かい、七時に起きて通勤する日を続けていた。これが常態化していたので、休日でも寝ると五時間後には眼が醒めたそうな。

私も二十代とか三十代はかなり睡眠時間を削って書いていたが…睡眠五時間は明らかな睡眠不足だったろうが、脳への影響はいかほどだったのか。習慣化していたとすると、執筆するとスイッチが入って極度に集中できたりしていたのかもしれない。