杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

師弟関係

私の感覚では、師弟関係というのは世の中でしばしば美しいものとして語られる。関係の中で、師が弟子を厳しく鍛えた、などというエピソードがありながら、その弟子が立派に成長して出世していれば、過去の指導が虐待じみたものだったとしても美化されて伝えられる。

しかし、師の指導が苛烈で、それでも弟子が成長できず、出世もできなかったらどうだろうと考えたことがある。そういう時に決まって私の脳裡に浮かぶのは、クリエイターの世界に入り、先輩とか上司からの厳しい指導に耐えられず去っていった人たちの顔だ。映画の世界でも、そういう人はずいぶんいただろうと思う。

恐らくそういう人たちは、師匠である先輩や上司を恨んでいることだろう。師弟関係というのは、そんなに美しいものじゃないのだ。そういうのを感じさせる小説を、いま準備している。