杉本純のブログ

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「辰野金吾没後100年特別展 辰野金吾と日本銀行」に行ってきた。

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日本銀行金融研究所 貨幣博物館に行き、「辰野金吾没後100年特別展 辰野金吾日本銀行」を見てきた。

東京駅丸の内駅舎(中央停車場)を設計したことで有名な辰野金吾(1854-1919)は、日本銀行本店の設計も手掛けている。その辰野が今年、没後100年だということで、日本銀行の貨幣博物館で展示が企画されたようだ。

私は建築にはぜんぜん詳しくないので辰野金吾のこともどれだけ偉いのかよく分からないが、フランス文学者の辰野隆の父親だということは知っている。

企画展は、辰野金吾の日銀設計に焦点を当て、そのための準備も含めた動き、設計上の特徴、全国各地の辰野設計による日本銀行支店、辰野の設計を受け継いだ弟子たちの作品紹介など多岐にわたっていた。辰野が日銀設計に傾けた情熱は相当なものだったようで、その様子も弟子の手記の引用などを通して紹介されている。

辰野は二度、海外渡航をしている。一度は官費留学生としてイギリスに行き、二度目は日銀設計のために欧米各国の銀行建築を調査した。イギリスへの官費留学というと、他に夏目漱石がいる。漱石が渡英したのが1900年で辰野は1880年に渡英したので、辰野の方が先輩である。

辰野は日本銀行の設計原案をロンドンでつくったそうだ。帰国後、設計をまとめ、1890年に着工し1896年に竣工した。以降、大阪支店をはじめ各地の日銀支店を設計した。その最後となる日銀福島支店が竣工したのが1913年で、1919年に65歳で亡くなるので人生のかなりの期間を日銀関係に捧げたことになる。ちなみに代表作の一つと言える中央停車場(東京駅丸の内駅舎)の竣工は1914年である。

建築のことはぜんぜん分からない私だが、今回の企画展は面白かった。また、日本のお金の歴史を紹介する常設展も勉強になった。面白い企画展が開かれればまた足を運びたい。