杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

青春不完全燃焼

森鷗外は官途に精励する傍ら小説を書き続け、睡眠時間は一日四時間程度だったと聞いたことがある。軍医総監としての森林太郎のことはよく知らないが、森鷗外として文名を確立させつつ、それだけ刻苦して文学に邁進したのはすごい。それには理由があって、鷗外は青春不完全燃焼だったから、などと誰かが書いていたと記憶している。

上記は一種の話の「まくら」。かくいう私も、青春不完全燃焼だ。同世代の人はもちろん、年上、年下の人と接していても、なんだか自分は人生のステージにおいて相手より十歩も百歩も後ろにいるような気がしてくることが少なくない。きっと相手は、青春時代に目一杯なにかに打ち込み、それなりの手応えを得て、青春を完全にではなくともいくらか燃焼させた結果として今の生活がある。私も青春時代には映画にそれなりに打ち込んだが、大変な思いをして映画を作ったぞという自負はあったものの、藝術家としての自己の確立には程遠く、学生時代が終わると同時にタイムアップになり、不本意ながら社会に出て指図されて働く日々を送るようになって、ブスブスとした不完全燃焼状態のまま今まで来てしまった。。

このまま朽木になっていくのか。上手いこと焼けぼっくいに火を点けるのに成功して燃える時間を過ごせるのか。。