杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

知りたいから調べる。

文学に関する調べ物を続けていて、本で読んでも分からないことはけっこう図書館などのレファレンスを頼って調べる。私は幸い、今までレファレンスサービスの人に冷たくされたことがないが、ある人によると、図書館員は「研究」というものを理解しているそうだ。

最近は遠慮なく各図書館のレファレンスサービスに質問して教えてもらっているが、実に丁寧に過去の資料を探索してくださり、私が調べているテーマについて、私が想定していなかった資料まで案内してくれるのでうれしい。もちろん、レファにおんぶにだっこではさすがに恥ずかしいので、私はさらに隣接・周辺の資料にも当たってテーマに関する情報を探す。するとそこでも新しい情報が出てくることがある。そういう時は、心の中で小躍りする。

図書館のレファレンスサービスのカウンターに行くと、受け付けたレファレンスの内容を記した紙が相当な枚数、束になって置かれているのを目にする。その中に私の質問も入っているのだろうが、私以外にもかなりの人がさまざまな質問をしているのが分かる。「レファレンス協同データベース」の事例を見ると、くだらない質問もあれば、こんなのどうやって調べるんだと思うほどの漠然とした質問もある。しかし係の人はあれだけの数の質問にいちいち丁寧に答えているので、敬服するばかりだ。

まぁ言ってみれば、私がやっている文学研究だって人によっては「くだらない」だろうし、何の価値もないだろう。ただ私が知りたいから調べるのであって、後年、書籍などの形にまとめれば一定の人にとって価値あるものになるが、そうでならなければ他人にとっては趣味道楽に過ぎない。

誰かが、自分が夢中になることはたいてい他人にとってはどうでもいい下らないことだ、と言っていたが、言い得て妙だと思う。そのどうでもいい下らないことに真摯に応じてくれるサービス(しかも無料!)があるのだから、日本はなんていい国なんだと思う。