杉本純のブログ

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「意味ありげ」

朝日新聞朝刊の鷲田清一「折々のことば」7月2日は、里見弴の言葉を取り上げている。

今の若い人たちは、「意味」より、「意味ありげ」を好いているのだ

戦前の昭和に書かれた随筆「二、三の神経」からの引用だが、二十一世紀にライターとして仕事をしている私も、嘆息まじりにそう感じることがある。もっとも自分よりも「若い人」だけでなく、年上のクリエイターにも「意味ありげ」を好む人って少なくない気がするなぁ。

里見の言葉とは関係ないことだが、文章を書く際も、大した内容でもないのに大仰に書いている、意味もない描写をそれこそ「意味ありげ」に盛り込んでいる原稿ってけっこうある。そういう文章を「エモーショナル」とか「エモい」とか言って、それ自体に価値があるかのように思っているらしい人もいるのだが、私はどうもいつも共感できないのだ。