杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

毎日書くこと7

あるテレビ番組で、金融工学は実験ができない、どんな理論を考えついたとしても、実際の金融市場で取引をしてみないとその有効性を知ることができない、と言われていた。なるほど、例えば投資を覚えるには実際に投資をやってみなくてはならない、と言う人もいるらしい。頭で考える皮算用よりも、まず実践、まず行動してみることが何事も大事だと思う。

話が一気に飛躍するが、小説を書くのも同じようなものではないか。構想をいくら綿密に立てても、実際に書き進めていくと、書かれる小説の世界は構想とは別の様相を呈してきて、作家の筆を構想とは別の方へ進ませようとすることがある。そうして進んでいく道が、良い結果につながる場合もあれば、逆の場合もある。

私も、小説を考え、こう進んでいくのが良いだろうと思い、実際に書いてみて、構想通りに進む場合もあれば違う方へ進む場合もあり、良い結果が出てそのまま進むこともあればどうも良くないと判断して引き返すこともある。上手く進めた場合は言うことなしだが、引き返す場合は大変で、その程度は大小あるから大変さの度合いも異なる。一つの段落や一つの章を抹消するだけで済むこともあれば、一篇まるごと抹消することもある。いま取り組んでいる作品は、最初に取り掛かったのが数年前で、ぜひともきちんと完成させようと再三再四挑んで、まだ完成させられていない。

とにかく書いて考え、考えて書くしかない。実作こそ実験なわけで、頭でいくら考えて構想をノートに書きつけたところで、小説はその通りにはできあがらない。実作=実験を、毎日のように繰り返すしかないのだと思う。