杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

何気ない言葉

取材と原稿執筆をメインの仕事にしている中で、何が仕事の喜びかと聞かれると、やはり取材することだ。

取材先で一期一会の相手と話し、相手の仕事や仕事観、ひいては人生観までも聞かせてもらう。これは意外と得るものが多く、特に私の好きな建設や街づくりに関して聞かせてもらう取材があると、いつも発見があって興奮する。

次に、喜び、というか嬉しさを感じるのは、クライアント担当者から感謝されたり、褒められたりすることだ。私はあまり真面目な人間ではないし、性悪説を信奉するところのあるひねくれ者でもあるので、褒め言葉や感謝の言葉には裏があるんじゃないかと思うほどなのだが、それでも正直に言うと、やはり嬉しい。

先日、あるクライアントから褒めていただいたのだが、その内容が特に嬉しかった。

会社員である私のことをある人に紹介する時、

(杉本は)ぜんぜんフリーランスでもやっていける人…

と、言ってくださったのだ。言い方は何気ないごく自然な、以前からそう思ってくださっていたような感じだった。ちなみにそのクライアントは取材を発注する時はいつも私を指名してくださる方なのだが、正直に言って、まさかそこまで思っていてくださったとは思っていなかった。また私以外のライター、恐らくフリーライターとも多く仕事をしていて、色んなライターを見てきた経験を踏まえて言ってくださったように思う。

これは、単に取材が上手い、原稿が上手い、などという褒め言葉よりもずっと嬉しいものだ。会社に属していなくてもやっていけるだろう、ということで、つまり技術的な面でなくその他の対応力なども買ってくださっているのだと思う。

面と向かって言われると、それこそ何か考えがあってそう言ったように聞こえるが、人に私を紹介する言葉として言ってくれたのだし、クライアントは私がフリーになるなどと思っているはずがない。何気なく、自然に出た言葉だった。だからこそ自信につながった。