杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

名作絵本『シナの五にんきょうだい』

クレール・H・ビショップ『シナの五にんきょうだい』(瑞雲舎、1995年)は、子供も好きでときどき読んでいる。

絵はクルト・ヴィーゼ、日本語訳は川本三郎である。以前は石井桃子が訳したこともあるようだが、そちらは読んでいない。

とにかく内容がすばらしい。無実の罪で死刑になった兄を救うため、四人の弟たちが特殊能力を使ってあらゆる苛酷な死刑を生き延びて、ついに無罪を勝ち取るという痛快な話である。

私は以前から、スタジオジブリあたりに、こういう単純で絵になるストーリーをアニメ化してもらいたいと思っている。ジブリが子供向けにアニメを作るなら、こういう、内容が良くて、しかも絵になるストーリーはうってつけだろうと思うのだ。

私の知る限り、この本は保育園などで読み聞かせされることは少ないようだ。多分、「シナ」がアウトなのだろう。また、五人の兄弟がそれぞれ超能力を持っているというのが、中国人=得体の知れない力を持った人、などという西洋人の勝手なイメージによるもの、ということでよろしくないのかも知れない。

しかし、兄弟で助け合って、母親と一緒に幸せに暮らす、という内容は良いと思う。私は名作だと思っている。