文章を書く仕事に就いて十年以上が経った。
まだまだ書き足りない、書きたいものがまだたくさんあると思う一方、俺はいったいどれだけ書けば書き終わるのか、あと何年、文章を書き続けなければならないのだろうかという思いがしばしば湧き上がってくる。
終わりなどないことは分かっている。恐らくこのまま死ぬまで書き続けるのだろう。
歩いてきた中では色んなことがあった。虐められたことがあった。貧しさと孤独に苛まれたこともあった。殺したいと思うほど人を恨んだこともあった。めちゃくちゃ笑われた。揶揄われた。見下された。無視された。
過ちもいっぱい犯した。自分より弱い人を虐めてしまったこともある。言葉の暴力を振るってしまったこともある。嘘を吐いたこともあれば物を盗んでしまったこともあり、弱音を吐いたこともあるし辛いことに背を向けたこともある。恥ずかしかったことも多い。情けなかったこともたくさんあった。
辛かったことが多過ぎる。欠け落ちてしまったことが多すぎる。しかし書いたことでそれらを取り戻せたとは思っていない。つまりまだまだ書かなくてはならない。書くしかない。全て書き尽くすしかないのだ。
書いても誰も読まないかも知れない。きっと誰も私の書き物になど興味すら持たないだろう。誰も見向きもしないテキスト。誰も読まない物語。
しかし書かなくてはならないのである。なぜなら、書かなくてはその文章はこの世に存在しないからである。私が生きてきた足跡は書くことでしか残せないからである。
だから書き続けなくてはならない。いつまで書くのか。
たぶん死ぬまで書くのだろう。