杉本純のブログ

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武者小路實篤「文章について苦心する人」

先日このブログで、武者小路實篤が「僕の書く時の苦心」という文章を書き、そこに自分は原稿に向かう力を確保するために頭を疲れさせないようにしている、と述べていたことを書いた。

武者小路全集をざっと調べたのだが「僕の書く時の苦心」は見つからず、その代わりではないが「文章について苦心する人」という文章を全集第三巻(小学館、1988年)に見つけた。初出は「白樺」大正3年5-9号。

その内容は、自分は自分の良心を近くにいる他人よりもトルストイドストエフスキーなど西洋の文豪と同じくらいの厳粛さに保ちたい、といった意志を表明した短い文章で、頭が疲れるとかそういうことはぜんぜん書かれておらず、抽象的すぎて面白くもない。

白樺派とかはよく分からないが、変に理想が高いというか、高潔であろうとするのがこの短文からも窺える気がする。