杉本純のブログ

本を読む。街を見る。調べて書く。

「日々新面目あるべし」

書家・歌人會津八一は、弟子たちのために学問の心得「学規」を書いたそうだ。八一が揮毫した「学規」は早稲田大学會津八一記念博物館に展示されているらしいので、こんど見てみたい。

「学規」の最後には、こうある。

日々新面目あるべし

新面目(しんめんもく)は、「今までにない新しい姿」「一新したありさま」といった意味で、八一がどのように考えついたかは知らないが、よい言葉だと思う。

私は勉学は人間の義務と思っているが、義務であると同時に、本を読み、調べ物をし、発見し、考え、それらを書いて伝えるという行為はこの上なく楽しいことと考えている。それは好奇心を刺激し、創造性を呼び覚まし、知的興奮をもたらし、その日を新鮮な空気で満たしてくれる。まさに新面目である。

ちなみに義務であるというのは、知識がなければ他人と議論もできず、世間を理解できず、人生に迷い、物事を腕力で解決しようとし、転倒してしまいがちになるからだ。もちろん勉学した人が一人残らず転倒を免れるわけではないが、勉学は基本的に人生を良い方へ導いてくれる。ろくに勉学せず社会人になってしまった私は、悔恨を込めてそう感じている。