先日は実に面白い取材をした。
ある海外事業プロジェクトの取材である。それを推進した担当者の思い出話、苦労話をたくさん聞けて、実にためになった。
私はこの取材をするにあたり、プロジェクトの年表を作って時系列的な流れを予め頭に入れておいた。これは、ライターにとってはごく当たり前の準備だが、それをやっていないライターは少なくない。
ライターの優劣について、「取材力」という言葉を使う人がいる。つまり取材力が高い人が優れたライターだというのだが、どうも聞いていると、インタビューの巧さだけを指しているのではないかと思うことがある。取材というのは文字通り材料を取ることであり、下調べすることも含むので、取材力はインタビューの巧みさだけを指すのではないと思う。
インタビューは取材方法の一つに過ぎない。だからインタビューの巧さと取材の巧さは同じではない。インタビューが巧いのはけっこうだが、それは話し上手であったり聞き上手であったり、つまりコミュニケーション力が高いという場合が多く、それはただ聞き取り取材が巧くいくだけのことだと思う。
それも大事だが、取材対象をどれだけ立体的に把握するかもかなり重要だと私は考えている。さらに言えば、インタビューの成否もそれ以前の準備によって大部分決まると思っている。
そして、下調べをすればするほど相手のことをよく把握でき、インタビューをするのが楽しみになる。調べれば調べるほど分からないことが出てきて、インタビューで聞きたいことが増えてワクワクするからである。