杉本純のブログ

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映画『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を観た

ジム・ジャームッシュの映画『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(アメリカ・西ドイツ合作、1984年)を観た。

ニューヨークに住むギャンブラー?とその仲間、ハンガリーから来た従妹によるロードムービージャームッシュらしい、日常の些末な出来事、その中でのすれ違い続きの人間関係。ロードムービーといっても大きな目的はなく、その結末もやっぱりすれ違いで、三人とも勘違いしたまま離れ離れになってしまう。

意味とか解釈とかストーリー性とかに背を向けた、しかしスタイリッシュな映画で、1シーン1カットで撮っていて緊張感がある。

ジャームッシュがこの映画を作るのにどんな意図を込めたのかは知らない。私の映画学校の先輩は、この映画が日本に来た時は、ジャームッシュという途轍もなく感性の鋭い監督が撮った最高にカッコイイ映画「ザンパラ」がやって来たぞ、といったムードで迎えられたと言っていた(少なくとも本人はそんな気持ちで受け止めていたようだ)。また知人はかつて、ジャームッシュの映画を観ると、自分が抱えている悩みなんてどうでもいい、人生に意味なんてない、ということが分かって気持ちが楽になる、などと言っていた。

たしかに映画にはストーリー性がなくてはならないわけではないし、カンフー映画を観るところや凍った湖を見に行くところ、ドッグレースで大金を損して怒り狂うところなど、別に何の意味もないのだが観ていて思わず大笑いしてしまった。

ジェイ・ホーキンスの歌がイイ。CDを買いたくなった。